[書評] 生成AIのしくみ ー 生成AIの進化の歴史が分かる一冊

多分まじめな本の書評は今年最後かなと思います。今回は「生成AIのしくみ 〈流れ〉が画像・音声・動画をつくる」という本を読んだのでその紹介です。

どんな内容の本か?

皆さん、生成AIのニュースが毎日のようにでている気がしますが画像や動画などのデータを生成する仕組みを簡単に説明することができるでしょうか?私は、自分の親にこれらの仕組みを説明できるほど分かりやすい説明はできないと思っていますが、この本はそんなAIについて詳しくない人向けに画像や動画などをどのようにAIが作っているか、技術の進化の歴史を交えて分かりやすく説明した本です。

この本の特徴としては普通の人が挫折せずに読めるように数式が一切出てこず、分かりにくい英語の専門用語も極力日本語訳をあてて、難しいところはイラストを使って分かりやすく説明されているのを感じました。
一方、これらの影響で私のような専門に近ければ近いほど、日本語訳に馴染みがなくて、これがどの論文の話をいっているのかぱっと分かりにくいところがあるうえに、数式が何もないこともあり、細かい部分が全くわからない本にもなっています。

このため、詳しく知りたい人は別の本、例えば同じ著者のこちらの本を読むほうが良いと思います。

どんな人にお勧めか?

おそらく以下のような人にお勧めかなと思っています。

  1. 生成AIについて知りたいが数式が得意ではない人
  2. 生成AIの発展の歴史を知りたい人

特にお勧めなのが1の人で、生成AIについて技術的な説明をしている本やすごい軽く説明している本はいくつかありますが、その中間くらいの数式は苦手だけどどのような仕組みで動いているのか知りたい人にはちょうどよい印象の本です。

また、これまで生成AIの取り組みはいろいろあったのですが、その発展の歴史を知りたいと思った人にもお勧めかと思います。
この本ではノーベル賞で話題になったホップフィールドネットワークの話題から生成AIへの流れを順番に説明されいて、ノーベル賞と生成AIがどうつながっているのかもわかるようになると思います。

個人的に良かった点

個人的に良かった点としては以下の通りです。

  1. 生成AIの歴史について飛び飛びの部分を補完できた
  2. 人に生成AIを説明するときどういう言い回しがいいのかの参考になった

特に1に関しては私も専門分野とはいえ、2017年くらいから深層学習の技術開発を始めた関係で、それよりも前の部分は人に説明できるような状態ではなかったのですが、そのあたりの歴史について知ることができたのは良かったです。

また、2に関して、生成AIは人に説明が難しいところが多いのですが、それをどういう風に説明すれば良いか少し分かった気がするので、その点も良かったです。

終わりに

今回は「生成AIのしくみ 〈流れ〉が画像・音声・動画をつくる」という本を紹介しました。最初のほうにも書きましたが、この本は普通の人向けの本であり、技術的な詳細を知りたい方は例えば同じ著者の「拡散モデル データ生成技術の数理」や手を動かして勉強できる「ゼロから作るDeep Learning ❺ ―生成モデル編」が良いかと思っています。
「拡散モデル データ生成技術の数理」の方は紹介記事を書いたので参考にしてください。

定期的にこのような書評を書いているので、もし興味があれば他の本の記事も見ていただければ幸いです。

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